馬杉知佐先生の「リトミック&発達支援プログラム」
昨年から全5回シリーズで行われた馬杉知佐先生のセミナーの最終回を受講しました。
今回は「リトミックと感覚情報処理と発達支援」というテーマでお話いただきました。
感覚情報処理とは、体の神経系による働きのことで、体の感覚器官を通して体内や周囲の「世界から取り入れた「日常生活に必要な感覚情報」を整理する機能で、刺激に対して「受信」「感知」「統合」「調整」「選別」「姿勢反射」「行為機能」を瞬時に行っている。
いわゆる発達障がいの子どもというのは、この色々な感覚器官の発達がでこぼこであるわけなんですね。
子どもの発達段階においての原則
● 感覚は脳の栄養である
● 感覚入力には交通整理が必要である
● 感覚統合はピラミッドのように発達する
言葉で説明すると難しいですが、実際に動いてみて感じることで、体感することができました。
同じ動き(立って横に揺れる)を目をつぶって音が無い状態と音楽をかけた時では、音楽がない時はふらふらしたり不安に感じたりしますが、音楽があると拍子やフレーズに合わせて動くことにより、次に反対側に向かって動く時に、動きやすかったです。
これがリトミックの優れたところで、音楽を聞くことで次が予測できるので、バランスを取りやすくなるのです。
また、音がない状態で動くのは気が向かなかったりしてできなかったりしますが、音楽があることで、自然に体が動くようになります。
バランスをとるということが、上記の「受信」「感知」「統合」「調整」「選別」「姿勢反射」「行為機能」を瞬時に行っています。
受け取った感覚を体の外で起きた情報を受け取る感覚「視覚」「触覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」と体の中で起きる情報を受け取る感覚「前庭覚」「固有覚」「内臓感覚」で処理しています。
感覚統合の発達の訓練は10歳までにする必要があるそうで、ピアノ演奏に例えると音を聴きながらピアノを弾く訓練は10歳までに訓練しないと、育たないそうです。
そうは言っても、それができないと絶対ピアノが弾けないわけではなく、訓練によって別の感覚がそれを補っていくようです。
それを聞くとやはりある程度音楽教育が年少時から行う意義があると思いました。
子どもの発達において、他の子どもと比べるのは無意味で、特に発達障がいの子どもは発達がでこぼこなので、その子によって何が足りないか、よく観察することが必要です。
大人の目から見るといたずらに見えることは、実は子どもにとっては感覚統合の訓練になっています。
よく赤ちゃんがティッシュを箱から出すいたずらをしますが、この行為が子どもにとっては感覚統合の訓練になっているそうです。
赤ちゃんがなんでも口に入れてしまうのも、この感覚統合の訓練になっているわけです。
大人から見るといたずらに見える遊びでも、子どもにとっては必要だからやっているのです。
ダルクルーズ(リトミックの考案者)が「身体は楽器である。学習者は自分という楽器から学ぶ」と言っていますが、子どもは何度も繰り返し行うことで、発達していきます。
周りの大人は子どもが挑戦している時=発達の訓練をしていると考え、好きなだけやらせることも大切だというお話でした。
まだダルクローズが生きていた頃は脳科学が今ほど発達していませんでしたが、こうやって学んでいくと、ダルクローズの考えが現在の脳科学に即していることを改めて感じ、ダルクローズの考えたリトミックの素晴らしさを感じることができる講座でした。
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